2025年12月の最終抽選で決まったグループAは、ホスト国メキシコを軸に、アフリカから16年ぶり返り咲きの南アフリカ、欧州組主体の韓国、そして20年ぶりの本大会出場となるチェコという顔ぶれだ。6月11日にはメキシコ対南アフリカのW杯2026開幕戦がアステカで行われる。本記事は、4カ国の事前情報のみをもとにグループの構図を整理する。
最終登録メンバー(26名)の発表は開幕約2週間前。本記事は 抽選結果・予選突破までの情報と登録メンバー に基づくチーム解説。試合結果のネタバレは一切含まない。
グループAの全体像
| 国 | 大陸 | ポット | W杯出場回数 | 前回出場 |
|---|---|---|---|---|
| メキシコ | CONCACAF | 1(ホスト) | 18回目 | 2022 |
| 南アフリカ | CAF | 2 | 4回目 | 2010(自国開催) |
| 韓国 | AFC | 3 | 12回目(11大会連続) | 2022 |
| チェコ | UEFA | 4 | 4回目(独立後) | 2006(20年ぶり) |
メキシコはホスト国としてポット1でシード。南アフリカはCAF予選グループCを首位通過(ナイジェリアとの激戦を制して18得点)。韓国はAFC最終予選を無敗で突破し、12大会連続出場を確定させた。チェコはUEFA予選2次ラウンド(プレーオフ)でアイルランドとデンマークをPK戦で退けて滑り込んだ。
4カ国の試合日程
| 日付(JST) | カード |
|---|---|
| 6月12日(金) 04:00 | メキシコ 対 南アフリカ ※W杯2026開幕戦 |
| 6月12日(金) 11:00 | 韓国 対 チェコ |
| 6月19日(金) 01:00 | チェコ 対 南アフリカ |
| 6月19日(金) 10:00 | メキシコ 対 韓国 |
| 6月25日(木) 10:00 | チェコ 対 メキシコ |
| 6月25日(木) 10:00 | 南アフリカ 対 韓国 |
第3節(6/25)の2試合は同時キックオフ。グループ突破のかかる最終節は最も緊張感が高い。
チーム別の立ち位置
メキシコ — W杯2026開幕戦の主役、3度目のホスト国
1970年大会、1986年大会に続いて3度目のホスト国(1大会あたり3試合が開幕節の舞台となる史上初の記録を持つアステカを擁する)。ハビエル・アギーレ監督(2024年就任、3度目の代表監督)のもと、5月31日に最終26名を発表した。
チームの中枢はキャプテンのエドソン・アルバレス(フェネルバフチェ、元アヤックス/ウェスト・ハム、代表97キャップ)と、サンティアゴ・ヒメネス(ACミラン、代表47試合6ゴール)、ラウル・ヒメネス(フラム、代表123試合44ゴール)の二枚看板。守護神のギジェルモ・オチョア(AELリマソール・キプロス)は40歳でのW杯6大会出場という歴史的偉業に挑む。17歳のヒルベルト・モラ(ティフアナ)というサプライズ選出も注目を集めた。
過去7大会連続でラウンド16進出を続けてきたメキシコにとって、自国開催はその連続記録を更新しながら準決勝以上(1986年大会以来)を狙う絶好の機会だ。グループAで一番の戦力を持つとみられ、開幕戦の聖地アステカでホスト国として勢いをつけたい。
南アフリカ — 16年ぶり返り咲き、アフリカ最強GK率いるBafana Bafana
2010年の自国開催以来、16年ぶりとなる4度目のW杯出場。ベルギー人指揮官ユーゴ・ブロース監督(73歳)が2021年から率い、2023 AFCON(アフリカ選手権)では3位入賞の好成績をおさめた。
代表をまとめるのがキャプテンのロンウェン・ウィリアムズ(マメロディ・サンダウンズ)。2023 AFCON準々決勝のPK戦で4本連続ストップを演じたことでアフリカ年間最優秀GKに選ばれた名手だ。攻撃陣ではプレミアリーグのバーンリーでプレーするライル・フォスター(代表26試合10ゴール)、21歳のレレボヒレ・モフォケン(2024年アフリカ最優秀新人、オーランド・パイレーツ)が世代を超えた脅威を与える。中盤の核テボホ・モコエナ(マメロディ・サンダウンズ、代表51試合9ゴール)の左足の配球精度も見どころの一つだ。
大半の選手がCAFリーグ(PSL)所属というチーム構成で、欧州主要リーグ在籍はフォスターとオコン(ハノーファー96)程度。しかし2023 AFCONでの3位、グループA唯一の”強豪ポット1不在”という構図が向かい風と追い風を同時につくりだしている。
韓国 — 11大会連続出場の精鋭、孫興慜が最後のW杯へ
1986年以来11大会連続という快挙で臨むグループA。AFC最終予選を無敗(6勝4分)で駆け抜け、5月16日に26名を発表。ホン・ミョンボ監督は、2002年の自国開催で主将として4位入りを果たした名DFで、選手・監督の両方でW杯を経験する稀有な存在だ。
絶対的エースは孫興慜(ロサンゼルスFC、代表142試合54ゴール)。トッテナムを離れ、今大会を「最後のW杯になるかもしれない」と語る33歳のキャプテンが求める頂点への挑戦を全力でサポートする体制が整っている。守備陣の柱はキム・ミンジェ(バイエルン・ミュンヘン)、中盤を統括するのはファン・インボム(フェイエノールト)、創造性の核はPSGのイ・ガンイン(代表46試合11ゴール)。9番にはチョ・ギュソン(ミッティラン、代表42試合10ゴール)とファン・ヒチャン(ウルブズ、代表77試合16ゴール)が控える。欧州9リーグにまたがる15名の海外組と韓国国内組を組み合わせた構成は、アジア屈指の戦術的成熟度を誇る。
ドイツ出身の韓国系22歳イェンス・カストロプ(ボルシアMG)が「韓国W杯史上初のデュアル・ヘリテッジ選手」として話題を集めた。
チェコ — 2006年以来20年ぶりの本大会、シックが牽引する欧州の新興勢力
チェコ単独としては2006年ドイツ大会以来20年ぶりの本大会出場(UEFA欧州予選プレーオフ2次ラウンドでアイルランドとデンマークをPK戦で連破)。チェコスロバキア時代には1934年と1962年に準優勝の歴史を持つが、チェコ独立後(1993年以降)は3度の出場すべてでグループステージ敗退。ミロスラフ・コウベク監督(70歳、2024年就任)が初の本大会指揮を執る。
エースのパトリック・シック(バイエル・レヴァークーゼン、代表52試合25ゴール)は192cmの長身ながら技術とシュート精度を兼ね備え、EURO 2020でチーム最多5ゴールを記録した実績を持つ。ウェスト・ハムのトマーシュ・ソウチェク(代表89キャップ17ゴール)がボックス・トゥ・ボックスの推進力を提供し、正GKのマチェイ・コヴァージ(PSVエイントホーフェン)はマンU契約からレヴァークーゼンを経て欧州トップレベルを経験してきた26歳。キャプテンのラディスラフ・クレイチー(ウルブズ)は2025年夏のプレミアリーグデビューが最近のトピックだ。
17歳のフゴ・ソフレク(スパルタ・プラハ)というサプライズ選出も含め、世代の幅と欧州主要リーグ在籍の重みが特徴的な構成になっている。
グループ突破の構図
ポット配分から素直に読めば、ホスト国メキシコが1位通過の最有力で、欧州主要リーグ主体の韓国が2位争いのメイン候補。しかし、
- 南アフリカはブロック守備とカウンター、世界屈指のGKという組み合わせが接戦を生みやすい
- チェコはシック(25国際ゴール)を中心とした強固な縦の威力があり、”番狂わせ製造国”の下地を持つ
- 48チーム制では3位上位8チームも決勝トーナメントへ進む。4チーム全員に現実的な進出シナリオがある
特に第3節(6/25)の同時キックオフでの運命の一致は、グループ全体の結果が一変する可能性をはらんでいる。
まとめ
- W杯2026の開幕を飾るグループで、メキシコ対南アフリカの開幕戦は歴史的な舞台
- 4カ国はCONCACAF(ホスト)・CAF・AFC・UEFAとすべて異なる大陸連盟から集結
- 孫興慜、シック、サンティアゴ・ヒメネスと個人で流れを変える力を持つアタッカーが揃う
- チェコの20年ぶり出場、南アフリカの16年ぶり返り咲きという歴史的な復帰組が含まれる
最終登録(開幕約2週間前)が発表されたタイミングで、各チームの主力選手とフォーメーション予想を含めた続編を公開予定。