2025年12月5日に行われた最終抽選で、グループBはホスト国カナダ(ポット1)、スイス(ポット2)、カタール(ポット3)、ボスニア・ヘルツェゴビナ(ポット4)の組み合わせとなった。共催国の地の利・欧州の実力派・アジアの連続出場チーム・バルカン半島から初の復帰国という、それぞれ異なる色の4カ国が揃った組だ。
最終登録メンバー(26名)の発表は開幕約2週間前。本記事は 抽選結果と予選突破までの情報 に基づくチーム解説。詳細な選手分析は最終登録後の別記事で扱う。
グループBの全体像
| 国 | 大陸 | 予選突破日 | 第何回出場 |
|---|---|---|---|
| カナダ | CONCACAF | 共催国(自動) | 3回目 |
| スイス | UEFA | 2025年11月18日 | 13回目 |
| カタール | AFC | 2025年10月14日 | 2回目 |
| ボスニア・ヘルツェゴビナ | UEFA | 2026年3月31日 | 2回目 |
カナダはポット1(共催ホスト国)、スイスはポット2、カタールはポット3、ボスニア・ヘルツェゴビナはポット4からの組み合わせ。ボスニアは欧州プレーオフ最終戦でイタリアをPK戦の末に撃破し、3月末に劇的な突破を決めた。
4カ国の試合日程
| 日付 | カード |
|---|---|
| 6月12日(金) | カナダ 対 ボスニア・ヘルツェゴビナ |
| 6月13日(土) | カタール 対 スイス |
| 6月18日(木) | スイス 対 ボスニア・ヘルツェゴビナ |
| 6月18日(木) | カナダ 対 カタール |
| 6月24日(水) | ボスニア・ヘルツェゴビナ 対 カタール |
| 6月24日(水) | スイス 対 カナダ |
カナダはグループ3試合すべてがカナダ国内開催(トロントとバンクーバー)という圧倒的なホームアドバンテージを持つ。スイス対ボスニアの一戦はバルカン系スイス人選手(グラニト・ジャカ、マヌエル・アカンジら)の出身背景が絡む因縁の対決になる。
チーム別の立ち位置
カナダ — ホスト国として歴史的3度目の出場
カナダのW杯出場歴は1986年メキシコ大会と2022年カタール大会の2度のみで、今大会はアメリカ・メキシコとの共催ホスト国として3度目の出場となる。1986年はグループリーグ3連敗・無得点に終わり、2022年も3連敗(グループF最下位)だったが、アルフォンソ・デイヴィスがクロアチア戦でPK弾を叩き込んでカナダ史上初のW杯ゴールを記録した大会でもあった。
グループBの3試合はトロント(Toronto Stadium)とバンクーバー(Vancouver Stadium)での全主催試合。ジェシー・マーシュ監督が好む高プレス4-3-3の軸は、バイエルン・ミュンヘンのアルフォンソ・デイヴィス(キャプテン、左SB/LWB)とユヴェントスのジョナタン・デイヴィッド(代表通算39ゴール)という2枚のスター。ヴィジャレアルのテイジョン・ブキャナン(58キャップ8ゴール)と、ポルトガル出身のLAFC所属スティーヴン・エウスタキオがサポートする構成だ。
カナダにとってラウンド16進出は史上初の達成になる。ホームの大歓声を味方につけた攻撃サッカーで、その歴史的瞬間を狙う。
スイス — 13大会目の老舗、1954年以来のベスト8を狙う
スイスのW杯出場は1934年の初出場から数えて今大会が13回目。UEFA予選グループBを4勝2分無敗(14得点2失点)で首位通過し、2025年11月18日に出場権を確定させた。2018年ロシア大会と2022年カタール大会の2大会連続でラウンド16に進出しており、今大会の現実的な目標は1954年スイス大会以来となるベスト8進出だ。
主軸はサンダーランドのキャプテングラニト・ジャカ(144キャップ16ゴール、レヴァークーゼン無敗優勝の元中核)と、インテル・ミラノのマヌエル・アカンジ(マンチェスター・シティでプレミア4連覇+CL制覇を経験、代表79キャップ)。ボルシア・ドルトムントのグレゴール・コベルがゴールを守り、前線はレンヌのブレル・エンボロ(85キャップ23ゴール)・ノッティンガム・フォレストのダン・ンドイェ・セビージャのルベン・バルガスの機動力ある3枚が担う。26名中18名がW杯経験者という安定感ある陣容だ。
ムラト・ヤキン監督(2021年就任)の3-4-2-1は守備の堅牢さと攻守の切り替えに定評があり、グループBのなかでは最も完成度の高い組織を持つチームと言える。
カタール — AFC通常予選を初突破しての2大会連続出場
カタールは2022年に自国開催でW杯初出場を飾ったが、0勝0分3敗・0得点という大会史上ホスト国最弱記録を残した。今大会は初めてAFC通常予選(第4ラウンド)を勝ち抜き、2025年10月14日にUAEを2-1で下して出場権を確定させた。グループBへの参加は2大会連続という事実が示す通り、カタールにとっては確かな成長の証だ。
スペイン人のフレン・ロペテギ監督(2025年就任)が好む4-3-3の核は、ハッサン・アル=ハイドス(代表185キャップ・41ゴールでカタール史上最多出場のキャプテン)、アルモエズ・アリ(歴代最多55ゴール)、そして2024年アジア年間最優秀選手のアクラム・アフィフ(124キャップ39ゴール、ヴィジャレアル下部組織出身)。選手の大半はカタール・スターズ・リーグ(QSL)所属だが、帰化選手(クーキ、ブーディアフ、ペドロ・ミゲルら)が守備・中盤の要を担う。
2022年の「0ポイント・グループ最下位」という屈辱を晴らすべく、まず1勝を挙げて存在感を示すことが現実的な目標となる。
ボスニア・ヘルツェゴビナ — イタリアを破り12年ぶりの復帰
ボスニア・ヘルツェゴビナのW杯出場は2014年ブラジル大会の1度のみ(グループリーグ敗退)。今大会は欧州プレーオフ最終戦で4度の世界王者イタリアを1-1の引き分けからPK戦(4-1)で撃破し、2026年3月31日に劇的な出場権を手にした。W杯2度目にして初の決勝トーナメント進出が目標となる。
最大の見どころは、シャルケ04に所属するキャプテンエディン・ジェコ(40歳、代表148キャップ・73ゴールで歴代最多得点者)が主役のラストダンス。マンチェスター・シティ・ローマ・インテルを渡り歩いた196cmのストライカーがW杯の舞台に立つのは今大会が最後になる可能性が高い。守備はアタランタのセアド・コラシナツ(元アーセナル、64キャップ)とベンフィカの若手右SBアマル・デディッチ(23歳)、中盤はブロンビーのベンヤミン・タヒロヴィッチ(ローマ・アヤックス経由)が担う。
スイス戦には特別な文脈がある。ジャカ(アルバニア系)やアカンジ(カメルーン系)など、バルカン半島にルーツを持つスイス代表選手が多く、この試合だけは純粋な戦術対決を超えたドラマが生まれやすい一戦だ。
突破の構図
ポット番号通りなら、スイス(ポット2)とカナダ(ポット1・ホスト国)がグループ上位2枠を争う最有力候補だ。ただし、
- カナダはトロント&バンクーバーでの全主催試合という唯一無二のアドバンテージがある
- スイスは26名中18名がW杯経験者で組織の完成度が高い
- ボスニアはジェコの経験値とブンデスリーガ勢のフィジカルで番狂わせを狙える
- カタールは2022年の経験と帰化選手の国際経験を活かし、少なくとも1勝を目指す
48チーム制の今大会ではグループ3位上位8チームもラウンド16に進出するため、4カ国すべてに決勝トーナメント進出のシナリオが残る。
まとめ
- ホスト国カナダはデイヴィスとデイヴィッドのツートップを軸に史上初のR16を狙う
- スイスは欧州プレーオフすら不要な盤石な予選を経て13大会目で最高成績更新を目指す
- カタールは2022年の屈辱を通常予選突破という成長で払拭、ロペテギ体制で1勝を目指す
- ボスニアはジェコのラストダンスと歴史的なイタリア撃破の勢いを携え12年ぶりに北米へ
最終登録(開幕約2週間前)が発表されたタイミングで、各チームの主力選手とフォーメーション予想を含めた続編を公開予定。