2025年12月5日の最終抽選で、グループGにはベルギー(ポット1)、エジプト(ポット2)、イラン(ポット3)、ニュージーランド(ポット4)が入った。黄金世代の遺産を受け継ぐ欧州強豪、サラーが率いる北アフリカの雄、アジア予選首位通過の中東の堅守軍団、そして16年ぶりに舞台に戻ってきたオセアニアの旅人——4カ国の予選突破ルート、W杯歴、対戦の構図を事前情報のみで整理する。
最終登録メンバー(26名)の発表は開幕約2週間前。本記事は 抽選結果・予選突破・最終スカッドまでの情報 に基づくチーム解説。詳細な戦術分析は選手紹介ページと合わせて参照してほしい。
グループGの全体像
| 国 | 大陸 | ポット | W杯出場回数 |
|---|---|---|---|
| ベルギー | UEFA | 1 | 14回目 |
| エジプト | CAF | 2 | 4回目 |
| イラン | AFC | 3 | 7回目(4大会連続) |
| ニュージーランド | OFC | 4 | 3回目(2010年以来) |
ベルギーはポット1(シード国)として最有力候補に位置し、エジプトがポット2、イランがポット3、ニュージーランドがポット4からの組み合わせ。グループ内唯一のアフリカ勢・エジプトはサラー(リバプール)の存在感が際立ち、イランはAFC予選を首位通過した実力国、ニュージーランドはOFC予選を圧倒しての本大会復帰だ。
4カ国の試合日程
| 日付(日本時間) | カード | 会場 |
|---|---|---|
| 6月16日(火) 4:00 | ベルギー 対 エジプト | Vancouver Stadium(バンクーバー) |
| 6月16日(火) 10:00 | イラン 対 ニュージーランド | Los Angeles Stadium(インングルウッド、CA) |
| 6月22日(月) 4:00 | ベルギー 対 イラン | Los Angeles Stadium(インングルウッド、CA) |
| 6月22日(月) 10:00 | ニュージーランド 対 エジプト | Vancouver Stadium(バンクーバー) |
| 6月27日(土) 12:00 | エジプト 対 イラン | Seattle Stadium(シアトル、WA)※同時刻 |
| 6月27日(土) 12:00 | ニュージーランド 対 ベルギー | Vancouver Stadium(バンクーバー)※同時刻 |
バンクーバーとロサンゼルス近郊が主戦場。太平洋岸のベニュー集中という観点では、ベルギーとニュージーランドがバンクーバーのVancouver Stadiumで2試合を行う。最終節は2試合が同時キックオフ(第3節ルール)。
チーム別の立ち位置
ベルギー — 世代交代途上の欧州有力国
ロベルト・マルティネス監督時代の「黄金世代」から世代交代を進めるベルギー。2025年就任のルディ・ガルシア監督が、ケビン・デ・ブライネ(ナポリ)、ロメル・ルカク(ナポリ)、ティボー・クルトワ(レアル・マドリード)らレジェンド組と、ジェレミー・ドク(マンチェスター・シティ)、ゼノ・デバスト(スポルティングCP)、アマドゥ・オナナ(アストン・ヴィラ)ら次世代を融合させた26名を5月15日に発表した。
中盤はキャプテンのユーリ・ティーレマンス(アストン・ヴィラ)とオナナのダブルボランチが土台で、トップ下にデ・ブライネを置く4-2-3-1が基本形。プレミアリーグ所属が7名、セリエA所属が4名と国際経験が豊富。デ・ブライネ(117キャップ36ゴール)にとって3度目のW杯、ルカク(124キャップ89ゴール)にとっては4度目のラストダンスになる可能性もある。
W杯での最高成績は2018年ロシア大会の3位。2022年カタール大会ではグループステージ敗退に終わっており、本大会では返り咲きが目標となる。
過去のW杯成績:
- 2018年(ロシア): 3位
- 2022年(カタール): グループステージ敗退
エジプト — サラーの「第2の・最後のW杯」
ホサム・ハッサン監督率いるエジプトは5月29日に最終26名を発表した。2018年ロシア大会以来8年ぶり4度目の本大会出場で、キャプテンのモハメド・サラー(リバプール、116キャップ67ゴール)が絶対的エース。33歳のサラーにとって2度目で最後のW杯となる可能性が高く、「サラーのラストダンス」としてグループG最大の個人的物語を背負う。
サラーに続く得点源としてオマル・マルモウシュ(マンチェスター・シティ、48キャップ11ゴール)が台頭。フランクフルト時代の大爆発で2025年1月にシティへ移籍した若き9番が代表でも存在感を増している。中盤の軸はアル・アハリ所属のマルワン・アッティア(アンカー)とエマム・アシュール(インサイドハーフ)で、アル・アハリ勢が9名とチームの骨格をなす。
W杯では過去3大会(1934年・1990年・2018年)いずれもグループステージ敗退。最高成績は1934年のラウンド16(当時の大会形式)で、現代の48チーム制でのグループ突破は悲願となっている。
イラン — AFC首位通過、悲願の初R16
アミル・ガレノエイ監督率いるイランは6月1日に最終26名を発表した(30名→31名から絞り込み)。4大会連続7度目の本大会出場で、AFC予選を首位通過した実力国。過去6大会すべてでグループステージ敗退という歴史があり、初のR16進出が史上初の悲願目標となっている。
エースはオリンピアコス所属のメフディ・タレミ(104キャップ60ゴール)。インテル・ミラノでCLを経験した長身ストライカーで、イラン歴代最多得点者クラスの実績を誇る。キャプテンはセパハン所属のエフサン・ハジサフィ(145キャップ)で、4大会連続W杯出場の左サイドバック/MF。GKのアリレザ・ベイランヴァンド(85キャップ)は2018年ロシア大会でクリスティアーノ・ロナウドのPKをストップした伝説的セーブで世界に名を刻んだ。
中盤アンカーのサイード・エザトラヒ(82キャップ)、ブライトン・フェイエノールト経験のあるベテランウインガー、アリレザ・ジャハンバフシュ(98キャップ17ゴール)も健在で、経験豊富な中堅国としての厚みがある。
ニュージーランド — 2010年以来16年ぶりの舞台
ダレン・ベイズリー(イングランド人)監督率いるニュージーランドは5月14日に最終26名を発表(Tier3チームの中で2番目に早い)。2010年南アフリカ大会以来16年ぶり、通算3度目の本大会出場で、OFC予選を圧倒して本大会の切符を掴んだ。
キャプテンはノッティンガム・フォレスト所属のクリス・ウッド(88キャップ45ゴール)。プレミアリーグでバーンリー・ニューカッスル・フォレストと長年活躍したストライカーで、ニュージーランド代表の歴代最多得点者。34歳ながら衰え知らず、2010年南アフリカ大会に続く2度目のW杯。
若き守備の核はシェフィールド・ユナイテッド所属の21歳、タイラー・ビンドン(CB、23キャップ3ゴール)。左サイドバックにはレクサム(EFLチャンピオンシップ)のリベラート・カカチェ(25歳、35キャップ)とエンポリでセリエA経験を持つ選手が控える。スウォンジー・シティのマルコ・スタメニッチ(24歳)やピーターバラのマシュー・ガーベット(24歳)など欧州育ちの若手が中盤に揃い、英国下部リーグ・スコティッシュPL・Aリーグの混成構成だ。
過去2大会(1982年・2010年)はいずれもグループステージ敗退。特に2010年南アフリカ大会では全3試合を引き分けという堅守ぶりを披露した。今大会での史上初のR16進出が目標となる。
対戦の歴史
| 対戦 | 過去戦績ハイライト |
|---|---|
| ベルギー 対 エジプト | 過去5試合。最近では2002年親善試合でベルギーが2-0 |
| ベルギー 対 イラン | 1998年フランスW杯グループステージでベルギーが2-2(引き分け) |
| ベルギー 対 ニュージーランド | 対戦記録少。2019年キリンカップ型の親善試合で交流はある |
| エジプト 対 イラン | AFCとCAFの交流は限定的。1970年代以来ほぼ対戦なし |
| エジプト 対 ニュージーランド | 対戦履歴なし(初の公式戦になる可能性) |
| イラン 対 ニュージーランド | 対戦履歴なし(初の公式戦になる可能性) |
グループG全体で見ても、4カ国間の現代の編成同士での比較材料は極めて少ない。特にエジプト対ニュージーランド、イラン対ニュージーランドは事実上の初対戦に近く、データに基づく予測が難しい組み合わせと言える。
突破の構図
ポット番号通りなら、シード国ベルギーがグループ首位、ポット2のエジプトが2位通過の最有力候補という構図。しかし:
- エジプトはサラー+マルモウシュという世界水準の2トップ候補を擁し、どのチームにも脅威をもたらせる
- イランはAFC予選首位通過の実力と堅守をベースに、過去の「グループ敗退ジンクス」を破る準備がある
- ニュージーランドはクリス・ウッドという世界水準のCFと若きビンドンを軸に、セットプレーと規律ある守備で番狂わせを狙う
48チーム制では3位上位8チームも決勝トーナメントに進出できるため、理論上は4カ国すべてに進出のシナリオが残る。特に最終節が同時刻キックオフになるため、2試合同時進行での勝ち点計算が複雑な状況を生む可能性もある。
まとめ
- ベルギーはポット1の最有力候補だが、世代交代の途上でスカッドの安定性は未知数
- サラーのラストダンスとして注目されるエジプトが「顔」のあるグループを作っている
- イランは過去6大会グループ敗退のジンクスを今大会で破れるか
- ニュージーランドは16年ぶりの参戦でクリス・ウッドとともに歴史を作れるか
- 大陸をまたいだ対戦経験の少なさから、現代の編成同士での実力差は未知数
最終登録(開幕約2週間前)が発表されたタイミングで、各チームの主力選手とフォーメーション予想を含めた続編を公開予定。