2026年FIFA W杯グループIは、連覇を狙うポット1フランスを筆頭に、アフリカの雄セネガル、ハーランド擁する28年ぶり出場のノルウェー、そして40年ぶりに本大会舞台に帰ってきたイラクが同居する。4カ国それぞれに異なるドラマと動機があり、試合ごとに違う緊張感が生まれる組み合わせだ。
最終登録メンバー(26名)の発表は開幕約2週間前。本記事は 抽選結果・予選突破ルート・公表済みスカッドの情報 に基づくチーム解説。詳細な選手分析は最終登録後の別記事で扱う。
グループIの全体像
| 国 | 大陸 | ポット | W杯出場回数 | 最高成績 |
|---|---|---|---|---|
| フランス | UEFA | 1 | 17回目 | 優勝(1998・2018) |
| セネガル | CAF | 2 | 4回目 | 準々決勝(2002) |
| ノルウェー | UEFA | 3 | 4回目 | ラウンド16(1938・1998) |
| イラク | AFC | 4 | 2回目 | グループステージ(1986) |
抽選の組み合わせとしては、ポット1シードのフランスが圧倒的な実績差を持つ。しかしセネガルはCAFを代表する強豪であり、ノルウェーはW杯初出場となるハーランドとウーデゴールという二大スターを擁する。イラクも40年ぶりの本大会で決して侮れない。
4カ国の試合日程
| 日付 | カード | 会場 | 開催地 |
|---|---|---|---|
| 6月17日(水) 04:00 JST | フランス 対 セネガル | New York New Jersey Stadium | ニュージャージー州イーストラザーフォード |
| 6月17日(水) 07:00 JST | イラク 対 ノルウェー | ジレットスタジアム | マサチューセッツ州フォックスボロ |
| 6月23日(火) 06:00 JST | フランス 対 イラク | リンカーン・フィナンシャル・フィールド | ペンシルベニア州フィラデルフィア |
| 6月23日(火) 09:00 JST | ノルウェー 対 セネガル | New York New Jersey Stadium | ニュージャージー州イーストラザーフォード |
| 6月27日(土) 04:00 JST | ノルウェー 対 フランス | ジレットスタジアム | マサチューセッツ州フォックスボロ |
| 6月27日(土) 04:00 JST | セネガル 対 イラク | Toronto Stadium | カナダ・トロント |
第3節(6/27)のノルウェー対フランスとセネガル対イラクは同時キックオフ。順位争いの結末は同時進行で決まる。
チーム別の立ち位置
フランス — ディディエ・デシャンの集大成
2018年優勝・2022年準優勝と2大会連続決勝進出を果たしたフランスは、3度目の頂点を目指す。ディディエ・デシャン監督(2012年就任)は大会後の退任を宣言済みで、グループIはその「集大成」の舞台となる。
キャプテン・ムバッペ(レアル・マドリー)が代表通算56ゴールの最多得点者として3度目のW杯に臨む。攻撃陣は両利きのウスマン・デンベレ(PSG)、インテルのマルクス・テュラム(9番)、バイエルンのマイケル・オリーズが並び、中盤はアンカーのオーレリアン・チュアメニ(レアル・マドリー)とエンゴロ・カンテ(フェネルバフチェ)が支える。最終ラインはアーセナルのウィリアム・サリバとバイエルンのダヨ・ウパメカノのCBペアが軸だ。
W杯通算成績:
- 1998年(自国開催): 優勝
- 2006年: 準優勝
- 2014年: 準々決勝
- 2018年: 優勝
- 2022年: 準優勝
セネガル — 黄金世代最後のW杯へ
パプ・ティアウ監督率いるセネガルは2024年に就任した新指揮官のもと、3大会連続4度目のW杯本大会に臨む。2002年日韓大会でのサプライズ準々決勝進出以来、超えられていない壁を打ち破ることが最大の目標だ。
チームの骨格は今大会が最後の可能性が高い黄金世代。キャプテン・カリドゥ・クリバリ(アル・ヒラル)は102キャップの経験でDFラインを統率し、サディオ・マネ(アル・ナスル)は代表127試合55ゴールのレジェンドとして3度目のW杯を迎える。2025年夏にチェルシーからバイエルンへ移籍したニコラス・ジャクソン(24歳)が9番を担い、トッテナムのパプ・マタル・サール(23歳)やモナコのラミーヌ・カマラ(22歳)ら次世代の中盤が支える。
W杯通算成績:
- 2002年: 準々決勝(日韓大会での歴史的快進撃)
- 2018年: グループステージ(勝点・得失点差で惜しくも敗退)
- 2022年: ラウンド16
ノルウェー — ハーランド&ウーデゴールの黄金コンビ、初の大舞台へ
ストーレ・ソルバッケン監督率いるノルウェーは、1998年フランス大会以来28年ぶりの本大会出場。世界最高のストライカーと名高いアーリング・ハーランド(マンチェスター・シティ)がついにW杯の舞台に立つ。プレミアリーグ得点王3連覇中(49試合55ゴール)のハーランドにとって、国際舞台では初となる大型大会への参戦だ。
チームはハーランドとアーセナルのキャプテンマルティン・ウーデゴール(67キャップ)という2大スターを核に、アトレティコ・マドリーのアレクサンデル・スールロート(196cm・26ゴール)、RBライプツィヒの20歳ウインガーアントニオ・ヌーサ(22試合7ゴール)、フラムのサンデル・ベルゲ(196cm・中盤の支柱)が支える布陣。ソルバッケンが好む4-3-3で攻撃志向のサッカーを展開する。
W杯通算成績:
- 1938年: ラウンド16(ベスト8相当)
- 1994年: グループステージ
- 1998年: ラウンド16
イラク — 40年ぶりのW杯、6月16日がその日
グラハム・アーノルド監督(オーストラリア人)率いるイラクは、1986年メキシコ大会以来40年ぶりの本大会出場。2025年に就任したアーノルド監督は、豪州代表として2022年W杯R16進出を導いた経験者であり、4-3-3戦術でイラクに組織的な守備と縦への速攻をもたらした。
興味深いことに、イラクが本大会に出場したのはどちらもメキシコ共催(1986年・2026年)。40年の時を経て、同じ北中米での舞台に帰ってきた。
中軸は代表通算33ゴールの最多得点者・アイマン・フセイン(93キャップ)、「イラクのマラドーナ」の異名を持つテクニカルなモハナド・アリ(71試合27ゴール)、マン・ユナイテッド育成出身でユトレヒトのジダン・イクバル(元プレミア選手)、ルートン・タウンのアリ・アル=ハマディというFW陣。100キャップのキャプテンジャラル・ハッサン(GK)がゴールを守る。
W杯通算成績:
- 1986年: グループステージ(メキシコ大会、0勝1分2敗)
対戦の歴史
| 対戦 | 過去の主な対戦歴 |
|---|---|
| フランス 対 セネガル | 2002年W杯グループステージで対戦(セネガルが1-0でフランスに勝利)。近年の親善試合でも複数回対戦 |
| フランス 対 ノルウェー | 過去10回以上の対戦。W杯では直接対戦なし。直近は2022年親善試合(フランスが2-1) |
| フランス 対 イラク | 過去の対戦は限定的 |
| セネガル 対 ノルウェー | 2002年W杯グループステージで対戦(セネガルが3-3引き分け)。過去5試合、直近は2002年W杯 |
| セネガル 対 イラク | 過去の公式戦なし。グループステージが初対戦となる可能性 |
| ノルウェー 対 イラク | 過去の公式戦なし |
注目なのはセネガルとノルウェー。2002年W杯グループAで引き分けた縁があり、24年ぶりの対戦となる。フランスとセネガルも2002年W杯の衝撃的な一戦(セネガルが当時の世界王者フランスを1-0で破った)以来の因縁がある。
突破の構図
ポット番号通りなら、フランスが1位通過の最有力候補。2位争いはセネガル(ポット2)が最有力だが、
- ノルウェーはハーランドとウーデゴールという個の力で序列を覆す可能性がある
- セネガルの黄金世代は実力的に欧州強豪とも互角に戦える
- イラクは40年ぶりの本大会で戦術的に成熟した選手が多く、番狂わせを起こせる素地がある
新フォーマット(48チーム制)では3位上位8チームも決勝トーナメント進出のため、イラクにも進出の現実的な可能性が残る。
まとめ
- フランスは優勝候補筆頭だが、セネガルの組織力が最初の試練になる
- ノルウェーはハーランドW杯初舞台という個人的ドラマが最大の見どころ
- セネガルは黄金世代が最後に2002年超えを狙う
- イラクは40年のブランクを経て本大会に帰還した最大のシンデレラ候補
最終登録(開幕約2週間前)が発表されたタイミングで、各チームの主力選手とフォーメーション予想を含めた続編を公開予定。