2025年12月5日の最終抽選で、ポルトガルはグループKに入った。同組にはアフリカのDRコンゴ(ポット2)、中央アジアのウズベキスタン(ポット3)、南米のコロンビア(ポット4)が揃う。本記事では、4カ国の予選突破ルート、W杯における歴史的な立ち位置、対戦の構図を整理する。
最終登録メンバー(26名)の発表は各国異なるが、公開済みのスカッドに基づいて解説。詳細な戦術分析は本大会開幕後の別記事で扱う。
グループKの全体像
| 国 | 大陸 | ポット | 第何回出場 | 直近W杯 |
|---|---|---|---|---|
| ポルトガル | UEFA | 1 | 9回目 | 2022年(準々決勝) |
| コンゴ民主共和国 | CAF | 2 | 2回目 | 1974年(グループステージ、ザイールとして) |
| ウズベキスタン | AFC | 3 | 初出場 | — |
| コロンビア | CONMEBOL | 4 | 7回目 | 2018年(ラウンド16) |
グループK最大の特徴は、出場経験の厚みが極端に異なる4カ国の組み合わせだ。9度目出場のポルトガルが圧倒的な実績を持つ一方、DRコンゴは52年ぶり、ウズベキスタンは国として初めてW杯の舞台に立つ。コロンビアは2014年の準々決勝進出を経験したが、2018年以来8年ぶりの本大会復帰となる。
4カ国の試合日程
| 日付 | カード | 会場 |
|---|---|---|
| 6月17日(水) | ポルトガル 対 コンゴ民主共和国 | Houston Stadium(ヒューストン) |
| 6月17日(水) | ウズベキスタン 対 コロンビア | エスタディオ・アステカ(メキシコシティ) |
| 6月23日(火) | ポルトガル 対 ウズベキスタン | Houston Stadium(ヒューストン) |
| 6月23日(火) | コロンビア 対 コンゴ民主共和国 | エスタディオ・アクロン(グアダラハラ) |
| 6月27日(土) | コロンビア 対 ポルトガル | ハード・ロック・スタジアム(マイアミ) |
| 6月27日(土) | コンゴ民主共和国 対 ウズベキスタン | メルセデス・ベンツ・スタジアム(アトランタ) |
ウズベキスタンにとってW杯初戦の相手がコロンビア、しかも会場がメキシコシティのエスタディオ・アステカ(標高約2,240m)というのは、デビューとしては過酷な条件だ。第3節のコロンビア対ポルトガルはグループ1位通過をかけた大一番になる可能性が高く、マイアミという南米系ファンが集う会場での対戦は特別な盛り上がりになりそうだ。
チーム別の立ち位置
ポルトガル — グループKのシード国
ポット1からの抽選で、グループKの最有力候補。Roberto Martínez監督率いる代表は、41歳のキャプテンCristiano Ronaldo(アル・ナスル)が史上初の6度目W杯出場という前人未到の快挙を達成する。2022年カタール大会では準々決勝でモロッコに敗れたが、ラウンド16では16歳のGonçalo Ramosのハットトリックでスイスを6-1で圧倒するなど強豪国としての実力を示した。
今大会のスカッドは中盤の質が傑出している。Bruno Fernandes(マンチェスター・ユナイテッド)が攻撃の創造性をけん引し、Vitinha(PSG)とJoão Neves(PSG)がボール保持とプレス耐性を担う。最終ラインはRúben Dias(マンチェスター・シティ)とGonçalo Inácio(スポルティング CP)のCBコンビが中心。前線はRonaldoを中央に、Rafael Leão(ACミラン)とBernardo Silva(マンチェスター・シティ)が両翼を担う4-3-3が基本布陣と予想される。
また、ポルトガルはディオゴ・ジョタの急逝を受け、26名登録枠に「+1」の象徴として彼への追悼の意を込めた登録をおこなった。チームが背負う思いも重い大会となる。
W杯成績:
- 1966年(初出場): 3位
- 2006年: 4位
- 2022年: 準々決勝
コンゴ民主共和国 — 52年ぶりのW杯復帰
1974年西ドイツ大会以来、52年ぶりの本大会出場。当時は「ザイール」として出場しており、DRコンゴとしては事実上の初出場に近い感覚を国民は持っている。Sébastien Desabre(フランス人)監督が2022年に就任し、2024年アフリカ・カップ・オブ・ネイションズで準決勝進出を果たした後、アフリカ予選を突破した。
キャプテンはChancel Mbemba(リール)。代表107キャップはDRコンゴ代表史上最多であり、ニューカッスル、ポルト、マルセイユで欧州トップレベルを経験した守備の核。エースはYoane Wissa(ニューカッスル)で、2024-25シーズンにブレントフォードでプレミアリーグ13ゴールを記録した後ニューカッスルへ移籍した実力者だ。
スカッドの特徴はイギリスとフランスで育成された選手が多い点にある。Aaron Wan-Bissaka(ウェストハム)(元マンチェスター・ユナイテッド)、Axel Tuanzebe(バーンリー)(元マンチェスター・ユナイテッド)、ベテランのCédric Bakambu(レアル・ベティス)(代表21ゴール)と、欧州主要リーグ経験者が揃う。フランス国内育成組も多く、Gaël Kakuta(元チェルシー)、Arthur Masuaku(ランス)らがいる。
ウズベキスタン — W杯初出場、Cannavaroが率いる中央アジアの新星
1991年の独立以来、35年越しで実現した初のW杯。指揮を執るFabio Cannavaro(イタリア人)は2006年W杯でイタリアを優勝に導いたキャプテンであり、バロンドール受賞者でもある。現役時代の経験を指導に生かし、4-2-3-1をベースとした組織的なサッカーで予選を突破した。
エースはEldor Shomurodov(イスタンブール・バシャクシェヒル)。ローマ、ジェノアなどセリエAの経験者で、代表90キャップ・44ゴールはウズベキスタン代表歴代最多得点記録。注目株のAbdukodir Khusanov(マンチェスター・シティ)は2025年1月にレンスから約40億円(£40M)でシティに加入した22歳のCBで、ウズベキスタン出身選手として初めてプレミアリーグのトップクラブでプレーする存在だ。
グループK最大のアンダードッグだが、Cannavarの指導のもとで培った守備組織の堅さが、グループステージで1ポイントでも確保できるかのカギを握る。
コロンビア — 2018年以来8年ぶりの復帰、James+ルイス・ディアスで大一番へ
2018年ロシア大会以来、8年ぶりの本大会出場。CONMEBOL予選(10カ国・ホームアンドアウェイ計18試合)を3位(28ポイント)で突破した。Néstor Lorenzo(アルゼンチン人)監督は2024年コパ・アメリカで決勝進出(ブラジルを準決勝で破るなどして準優勝)という結果を残し、その勢いでW杯に臨む。
キャプテンJames Rodríguez(ミネソタ・ユナイテッド、MLS)は2014年ブラジル大会で6ゴールを挙げ得点王に輝いた天才。現在33歳でMLS所属ながら、代表124キャップ・31ゴールの実績を持つ。「ラストW杯」になる可能性が高い中、左足の精度と視野の広さは健在だ。エースはLuis Díaz(バイエルン・ミュンヘン)。リバプールでのプレミア・FAカップ制覇を経て2025年夏にバイエルンへ移籍した爆発的なウインガーで、代表72キャップ・21ゴールを誇る。
守備の柱はDavinson Sánchez(ガラタサライ)(77キャップ)。アヤックスでのUEFAヨーロッパリーグ準決勝、トッテナムでのプレミア経験を持つ。中盤のアンカーはJefferson Lerma(クリスタル・パレス)(64キャップ)。ポット4配置ながら戦力は疑いなくグループトップレベルに近い。
対戦の構図
| 対戦 | 背景・接点 |
|---|---|
| ポルトガル 対 コロンビア | W杯本大会では初対戦。注目の「Ronaldo vs James+Luis Díaz」対決。 |
| ポルトガル 対 ウズベキスタン | 過去の対戦記録なし。ウズベキスタン代表史上最強の相手の一つ。 |
| ポルトガル 対 DRコンゴ | 過去の公式戦対戦なし。2020年代以降に急増したDRコンゴのプレミア・リーグ1組の選手が初の大舞台へ。 |
| コロンビア 対 DRコンゴ | W杯では初対戦。コンチネンタルのスタイルの違いが問われる一戦。 |
| コロンビア 対 ウズベキスタン | ともに初対戦。ウズベキスタンのW杯デビュー戦の相手はコロンビア。 |
| DRコンゴ 対 ウズベキスタン | 両チームともW杯では「不在期間が長い組」。ウズベキスタンは初出場、DRコンゴは52年ぶり。 |
コロンビア対ポルトガルの最終節(第3節)は、グループ1位通過の行方を左右する可能性が高い。James Rodríguezがかつて在籍したレアル・マドリードの伝統を引くポルトガル中盤(Bruno Fernandes、Bernardo Silva)との対比も、試合を彩る要素の一つだ。
突破の構図
ポット通りに進むなら、ポルトガル(1位)+コロンビア(2位)が最有力という構図。ただし、
- DRコンゴは52年越しの悲願を背負い、Wan-Bissaka・Tuanzebe(元プレミア勢)とWissaを中心に組織力が高い
- コロンビアはLuis DíazとJamesの連動次第で得点力が大きく変わる、ポット4ながら実力は折り紙付き
- ウズベキスタンは初出場ながらCannavarの守備戦術とKhusanov(マンチェスター・シティ)のCBが高い組織力を形成
48チーム制では各グループ3位の上位8チームも決勝トーナメントに進むため、DRコンゴやウズベキスタンにも3位通過のシナリオは残る。
まとめ
- 歴史的背景の格差が最も大きいグループ: 9度目の出場国と初出場国が同居する
- ロナウドの6度目が最大の注目点: 史上初の記録がヒューストンとマイアミで刻まれる
- コロンビアはラテンアメリカ系ファンの多いマイアミでの最終戦: 会場の雰囲気が試合展開を左右しうる
- ウズベキスタンとDRコンゴの歴史的瞬間: いずれも「待望の初・復帰」のストーリーが国民の背中を押す
詳細な選手分析・戦術考察は最終登録確定後の別記事で扱う予定。