2025年12月5日の最終抽選で、イングランドはグループLに入った。同組には2018年ロシア大会で準優勝を飾り、2022年カタール大会でも3位入賞を果たしたクロアチア、2010年南アフリカ大会でアフリカ勢史上最高位タイとなるベスト8に進出したガーナ、そして8年ぶり2度目の本大会出場を決めたパナマが入る。初戦でイングランドとクロアチアが激突するという、グループステージ随一の好カードが実現した。
最終登録メンバー(26名)の発表は各チームで異なるが、本記事は 各国が発表済みのスカッドと抽選結果までの情報 に基づくチーム解説。詳細な選手分析と戦術考察は別記事で扱う。
グループLの全体像
| 国 | 大陸 | ポット | W杯出場回数 |
|---|---|---|---|
| イングランド | UEFA | 1 | 17回目 |
| クロアチア | UEFA | 2 | 7回目 |
| ガーナ | CAF | 3 | 5回目(5大会連続) |
| パナマ | CONCACAF | 4 | 2回目(2018年以来) |
ポット1のイングランドはグループの最有力候補。ポット2のクロアチアは黄金世代の集大成で臨む。ポット3のガーナは欧州主要リーグに分散した攻撃陣を擁し、ポット4のパナマはCONCACAF予選を勝ち抜いた守備的なチームカラーで参戦する。
4カ国の試合日程
| 日付(JST) | カード | 会場 |
|---|---|---|
| 6月18日(木) 05:00 | イングランド 対 クロアチア | Dallas Stadium(テキサス州アーリントン) |
| 6月18日(木) 08:00 | ガーナ 対 パナマ | Toronto Stadium(カナダ・トロント) |
| 6月24日(水) 05:00 | イングランド 対 ガーナ | ジレットスタジアム(マサチューセッツ州フォックスボロー) |
| 6月24日(水) 08:00 | パナマ 対 クロアチア | Toronto Stadium(トロント) |
| 6月28日(日) 06:00 | クロアチア 対 ガーナ | リンカーン・ファイナンシャル・フィールド(ペンシルベニア州フィラデルフィア) |
| 6月28日(日) 06:00 | パナマ 対 イングランド | New York New Jersey Stadium(ニュージャージー州イーストラザフォード) |
最終節(第3節)の2試合は同時キックオフ(JST 06:00)。日本でのTV中継は朝の時間帯が中心になる。
チーム別の立ち位置
イングランド — 1966年以来の優勝を狙うポット1筆頭
2025年1月にトーマス・トゥヘル監督(CL優勝経験者)が就任してから1年半、イングランドは新しい指揮官の下で3度目のW杯に臨む(2018年・2022年はいずれもベスト8止まり)。2026年5月22日に発表された26名の構成は、キャプテン ハリー・ケイン(バイエルン・ミュンヘン) の3度目のW杯出場(代表最多73得点)を軸に、ジュード・ベリンガム(レアル・マドリード) と ブカヨ・サカ(アーセナル) の両主軸が新世代を引っ張る布陣だ。
トゥヘルが好む4-2-3-1では、デクラン・ライス(アーセナル)とエリオット・アンダーソン(ノッティンガム・フォレスト)のダブルピボットがチームのバランスを担う。フィル・フォーデン(マンチェスター・シティ)とコール・パーマー(チェルシー)を選外とし、サウジ・プロリーグでハイペース得点を続けたアイバン・トニー(アル・アハリ)を招集するなど、トゥヘルの大胆な選考が話題を集めた。
過去のW杯成績では1966年の自国開催以来一度もトロフィーを手にしていない。2002年から直近4大会のラウンド16止まりというクロアチアとの共通点をも超えて、今大会では決勝進出を現実的目標として掲げている。
クロアチア — 40歳モドリッチ率いる黄金世代の最終章
ズラトコ・ダリッチ監督率いるクロアチアは2026年5月18日に26名を発表。40歳のキャプテン ルカ・モドリッチ(ACミラン) をはじめ、37歳のイヴァン・ペリシッチ(PSVエイントホーフェン)、4度目のW杯となるクラマリッチ(ホッフェンハイム)とマテオ・コヴァチッチ(マンチェスター・シティ)の4名が2018年ロシア大会準優勝メンバーから残る。一方で19歳のルカ・ヴシュコビッチ(ハンブルガーSV)ら次世代も組み込んだ、年齢差21歳という大胆な構成だ。
守備の要は24歳の ヨシュコ・グヴァルディオル(マンチェスター・シティ)。2022年大会でブレイクした左CB/LBは今や世界トップクラスの評価を受ける。中盤のトリオはモドリッチ+コヴァチッチ+パシャリッチが基本線で、前線はペリシッチ+クラマリッチに新世代のルカ・スチッチ(レアル・ソシエダ)が絡む。セリエA所属の8名を筆頭に欧州主要リーグ組で固めた陣容だ。
W杯ではクロアチア独立後に1998年フランス大会で3位、2018年ロシア大会で準優勝、2022年カタール大会で3位と、参加6大会のうち3大会でベスト4以上という驚異的な実績を誇る。本大会がモドリッチのラストダンスとなる可能性が高く、その集大成に国民の期待が集まる。
ガーナ — 欧州主要リーグの攻撃陣が率いるブラック・スターズ
カルロス・ケイロス監督(ポルトガル人・72歳)のガーナは2026年6月2日に最終26名を発表。5大会連続5度目の本大会出場で、歴史的目標は2010年南アフリカ大会のベスト8(アフリカ勢歴代最高位タイ)超えだ。
攻撃陣の柱は キャプテン ジョルダン・アユー(レスター・シティ) (代表117キャップ33得点のアユー一家の一員、父はガーナレジェンドのアベディ・ペレ)、2025年夏に8500万ポンドでマンチェスター・シティへ移籍した アントワーヌ・セメンヨ、そしてスペイン代表からガーナに転向した経歴を持つ イニャキ・ウィリアムズ(アスレチック・ビルバオ) の3枚。中盤の底には元アーセナルのFA杯王者で現ビジャレアルの トーマス・パーティ が構える。プレミアリーグ・ラ・リーガ・セリエA・リーグ・アンと欧州各国リーグに散らばる選手たちを束ねる。
2022年カタール大会ではグループステージ3連敗という苦い経験。その教訓を糧に2010年以来16年ぶりのラウンド16進出を狙う。
過去W杯成績:
- 2006年(ドイツ): ラウンド16
- 2010年(南アフリカ): 準々決勝
- 2014年(ブラジル): グループステージ
- 2022年(カタール): グループステージ
パナマ — 8年ぶりの舞台で初W杯勝利を狙う
トマス・クリスティアンセン監督(デンマーク系スペイン人)のパナマは2026年5月26日に26名を発表。2018年ロシア大会以来8年ぶり2度目の本大会出場で、35歳のキャプテン アニバル・ゴドイ(サンディエゴFC) が代表歴代最多の159キャップを誇るベテランとして大舞台に臨む。
4-2-3-1を基本とし、中盤はゴドイ+アダルベルト・カラスキージャ(UNAM)の経験豊富なダブルピボット。攻撃の軸は ヨエル・バルセナス(マサトラン) とウイングの ホセ・ルイス・ロドリゲス(フアレス)。得点源はイスマエル・ディアス(レオン)とホセ・ファハルド(ウニベルシダ・カトリカ)の2択。リーガMX所属が多く、MLS・欧州下部リーグのCONCACAF型経験を持つ選手が中心だ。
2018年ロシア大会ではグループステージ3連敗(対ベルギー1-3、対イングランド1-6、対チュニジア1-2)で未勝利に終わった。本大会でのW杯初勝利が現実的かつ最大の目標となる。
対戦の歴史
| 対戦 | 過去戦績ハイライト |
|---|---|
| イングランド 対 クロアチア | 2018年W杯準決勝でクロアチアが2-1で勝利(延長)。EURO 2020/21ではイングランドが1-0勝利 |
| イングランド 対 ガーナ | 2010年(W杯初勝利のGL)・2022年の親善試合でイングランドが勝利。直近は2022年の親善試合 |
| イングランド 対 パナマ | 2018年ロシア大会グループステージでイングランドが6-1の大勝 |
| クロアチア 対 ガーナ | 2010年W杯で1-0(クロアチア勝利)、2014年W杯で4-0(クロアチア勝利) |
| クロアチア 対 パナマ | W杯での対戦なし、直近の公式戦での対戦実績も少ない |
| ガーナ 対 パナマ | 公式戦での対戦実績はほぼなし |
イングランドとクロアチアの対戦はこのグループ最大の注目カード。2018年W杯準決勝でのリバンジュという側面もあり、過去の直接対決は常に接戦となっている。
通過の構図
ポット番号通りならイングランドが1位、クロアチアが2位通過の最有力候補という構図。ただし、
- クロアチアはモドリッチら経験豊富な選手を複数擁し、大舞台での勝負強さは折り紙付き
- ガーナはプレミアリーグ・セリエAで主軸を張る選手を前線に揃え、カウンター一発の破壊力は十分
- パナマは組織的な守備と限られたチャンスを仕留める CONCACAF流で勝ち点を積み重ねる可能性
48チーム制では3位上位8チームも次ラウンドへ進出できるため、ガーナとパナマにも現実的な突破シナリオが残る。
まとめ
- ポット格差は存在するが、クロアチアの経験値とガーナの攻撃力が構図を複雑にする
- イングランド対クロアチアの初戦が、グループの行方を大きく左右する
- 北米東海岸・中部の会場が中心で、6月の高温多湿なコンディションは全チームに影響する
- 詳細な選手分析と戦術考察は最終登録確認後の別記事で扱う
最終登録メンバーが出揃ったタイミングで、各チームのフォーメーション予想と注目選手を含めた続編を公開予定。